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【書評】『NEW POWER』これからの世界の「新しい力」を手に入れろ

これまでの世界では、

考えられないような出来事が、

次々と起こっている。

 

国内に目を向ければ、

ZOZO前澤社長によるお年玉企画が、

世間の注目を集めた。

 

たった数日でフォロワーは一気に500万人を超え、

あのギネスにも認定されるほどの拡散力を目の当たりにした。

 

国外では「Metoo運動」のような、

力のない一個人が声を上げて、

最終的には権力者が辞任するまでの、

大規模なムーブメントが起こった。

 

いったい何が起きているのか?

時代を動かしている謎の要因(ニューパワー)を理解するために

画期的なフレームワークを提供してくれたのが本書である。

 

 本書では、「オールドパワー」と「ニューパワー」に

分けて実際に起きた事件を解説していく。

 オールドパワーとは、

少数の人間がパワーを掌握し、

油断なく守り抜こうとする。

権力者は強大なパワーを蓄えており、行使できる。

閉鎖的で近づきがたく、

リーダー主導型。

オールドパワーはダウンロードして取り込み、獲得するもの。

 

ニューパワーとは、

多数の人間によって生み出される。

オープンで一般参加型であり、

対等な仲間によって運営される。

ニューパワーはアップロードして分配するもの。

水や電気のように、

大量にどっと流れるときに最大の力を発揮する。

ニューパワーを手にする者たちの目的は、

溜め込むことでなく提供すること。

 

人は、いつの時代にも、

「世の中に参加したい」という欲求があったという。

しかし、人々が社会に参加したり大勢の人を動員する方法は、

つい最近まではかなり限られていた。

 

だが、「IT」「SNS」のおかげで、

僕らは環境され整えばかつてない速度と規模の組織をつくることができる。

こうしてニューパワーの発揮できる土壌が2010年代にできたのである。

 

ニューパワー=善、オールドパワー=悪という単純な2元論に収まる

かと思いきや、本書は違う立場を取っている。

 

絶大な力をもつニューパワーだが、

使い方によっては負の側面もあることを本書は指摘する。

 

世の中の組織、企業がどの位置に存在するのか。

ぱっと分かるマトリックスを用意してくれている。

 

横軸は、価値観がニューパワーかオールドパワーか。

縦軸は、ビジネスモデルがニューパワーかオールドパワーかを示している。

 

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例えば、

パタゴニアは、価値観はニューパワーだが、モデルはオールドパワーである。

商品開発には自社の人間しか使っていないが、環境保全をアピールし、多くの社内情報をオープンにする姿勢がある。

 

またISISは価値観はオールドパワーだが、モデルはニューパワーである。

情報共有は一方的だが、Twitterをはじめソーシャルメディアを駆使して、リクルートしている。個人としてはトランプ大統領もここに位置する。

 

もともと拡散しやすく一気に噴火しやすいニューパワー。

いつどこでムーブメントは起きるかはわからないが、

本書を読んでおけば、ムーブメントの存在を、

確かなものと感じることができるだろう。

 

NEW POWER これからの世界の「新しい力」を手に入れろ

NEW POWER これからの世界の「新しい力」を手に入れろ